明るい春をめざして

今年も春闘の時期をむかえることになりました。わたしにとって、労働組合の専従役員になって7回目の春闘です。最初の4年は、ある労働組合の役員として、職場の組合員と一緒になって要求内容の実現に向けて会社と交渉しました。特に最後の4年目は久しぶりに要求した賃金の向上分(いわゆるベア)の獲得に向け、過去に類を見ない活動を行いました。例えば、週末に全工場から家族含めた1万人を集めた集会の実施や、組合員全員の思いを横断幕に記して組合会館に掲げたり、連日、本社の前で千人規模でのシュプレヒコールを繰り返したりするなど、実際に陣頭指揮をとる立場で歯を食いしばって最後の最後まで取り組みました。その結果、最後の最後に要求どおりの水準の回答を得ることができました。正直、うれしくて涙が出たし、責任を果たせてホッとしたし、やりとげた満足感を仲間と共にかみしめることができました。

その次の2年は企業グループの労働組合の連合会役員の立場で、加盟する組合の委員長と共に闘う春闘でした。わたしはグループの中でも比較的規模の小さい組合を担当させてもらいましたが、それゆえ大手組合との労働条件での差が大きく、2年かけてその差を少しでも縮めようと取り組みました。中小は大手の回答を上回ることはできない、ましてやグループ内では尚更難しいということがよく言われます。しかしそれでは差は縮まるどころか開く一方で、結果大きな格差になってしまいます。わたしは担当する組合の委員長と、「大手の水準を超えて要求する必要性」と「どうしたら会社に大手を上回る水準を回答させることができるか」を徹底して議論し、お互い腹に落としあい、そして実行しました。1年目は何とか大手水準を上回る要求はできたものの、回答は並ぶのが精一杯でした。その反省を踏まえて2年目はベアの金額(例えば千円)でなく、賃金の絶対水準(例えば35歳で25万円/月)の低さを徹底的に訴え、最終盤には、会社が着地させたい回答水準を打診してくる前に、組合から、この水準(もちろん大手を上回る)でないと受け取れないというボールを投げ最後まで攻めを貫きました。そして高い水準での妥結が確実になった組合の結果は、共闘を組む他の組合の委員長に、携帯メールも駆使して伝えるなど、有利になる情報の共有を徹底しました。そうしたこともあり、大手を上回る回答を得た組合が大幅に増えました。上回ったといっても数円から500円位までがほとんどでしたが、100円上回った組合の委員長は「大手を上回る回答の重みをしっかりと受け止め、みんなで精一杯がんばっていこう」と結果に誇りをもって組合員に報告をしました。わたしもそれが誇らしく大変うれしかったことを記憶しています。


今年は、労働者・勤労者の代表である連合の役員として初めての春闘になります。組織内に向けた取り組みは言うまでもありませんが、代表という以上、組織外の勤労者に向けてしっかりと取り組んでいかなければなりませんし、今の社会情勢により連合の責任はより重くなっています。「人を大切にする」という基本的な考え方を忘れずに、皆さんと共に明るい春をめざして取り組んでいきたいと思っています。




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