1年前、人工知能「AI」が囲碁でプロ棋士に対して勝利を収めたことがニュースで大きく取り上げられることがありました。
あれから1年、世の中ではこれまで以上にAIやロボットの進歩を耳にする機会が多くなったように感じます。日々の生活の中でも、コンピュータの処理能力の向上によって、少し前までメモリーの単位は「メガ」が当たり前であったのが、今は「ギガ」単位が一般的になっています。
こうした現状からも誰もが技術の進歩を実感しながら生活しているといえるのではないでしょうか。
先日、ある本で、こうした今の技術進歩を「チェス盤の後半に差しかかっている」と表現している人を見つけました。これはインドの古い伝承に由来しているとのことでした。
あらゆる娯楽に飽きた王様が国民に新しい娯楽を募ることがあったそうです。寄せられた中にチェスの原形になるゲームがありました。
発明者に褒美をとらせようとした王様に対して、発明者は米を所望したそうです。
チェス盤の1マス目に米粒を1粒、2マス目に2粒、3マス目に4粒、4マス目に8粒・・・と置き、盤上のすべての米粒をもらいたいと求めました。
聞き入れた王様でしたが、64マスのうち30マスも満たないうちに国家の米の蓄えが尽きてしまったそうです。(ちなみに64マス目では累計1850京粒)
コンピュータの処理能力で言えば、後半の32マス目から36マス目までの増加分(論者によれば約8年での進歩)は、32マス目までに積み上げてきた処理能力の4倍に達します。
あまりにも気が遠くなる話ですが、こうした急激な技術革新(イノベーション)の流れによって、私たちの生活はますます便利なものになっていくことを誰もが期待しているのではないでしょうか。
その一方で、こうした流れによって、これからの私たちの働く場が変わっていくことも考えられます。これまでAIやロボットにはできないといわれていた代替も進んでいくことを考えると、それに備え、自分たちが働く産業・企業・仕事の今後について考える時がきているのかもしれません。
今次春闘方針の中で連合は、「イノベーションに必要なのは「人への投資」」であることを掲げています。
企業は価値を保ち、存続するために「イノベーション」に挑戦し続けなければならず、その「イノベーション」を起こすのは労働者、つまり、スキル・能力をもった「人財」。 だからこそ企業には「人財」を育て維持していくために「人への投資」をこれまで以上に求めていかなければならないとしています。
今後、企業・労働者の双方が、社会全体が直面しているこのような課題について話し合うこと、そして、「イノベーション」に挑戦する私たちの思いを社会に発信していくことが重要なのだと感じます。




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