世代間格差

 「世代間格差」という言葉をこの頃聞くことがあります。税や社会保険料などの「負担」と年金や医療・介護などにおける「受益(給付)」との関係を見ていくと、世代間に損得の状況があるということでしょう。「若者は損をしている」「若者は犠牲者だ」という論調は少し前から言われてきています。
さて、2012年1月、内閣府のシンクタンクである「経済社会総合研究所」が社会保障における「世代間格差」を試算し、その不均衡は「無視できない大きさ」だと指摘しました。この試算自体は研究者たちの個人研究による論文でのことだとはいえ、政府のシンクタンクのペーパーとして発出されたことは、今後の社会保障をめぐる議論に少なからず影響を与えるのではないでしょうか。
しかし、この試算に真っ向反論したのが厚生労働省です。厚生労働省の指摘を2点に限って紹介すれば、一つは比較・資産の技術的な問題、つまりは比較に用いている指標がおかしいという点。もう一つは、社会保障における数値的な格差があることが問題なのか?「不公平」と呼ばれるべきものなのか、という根本論です。
双方の試算や反論を細かく記載するだけの余裕がありませんが、同じ政府の中でも見方・考え方が大きく違っていることは、社会保障における問題の複雑さ、論点の多さを示していることは間違いないでしょう。




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