政府の産業競争力会議は、6月16日に政府が6月末に予定している新しい成長戦略の「素案」を取りまとめた。
これは、少子高齢化による労働力不足を見据え、女性や外国人の積極活用など「岩盤規制」といわれる雇用や農業、医療分野の規制改革を柱としたものとなっているものの、労働者保護の後退を招く恐れのある項目が多く盛り込まれており、到底容認できるものでない。

特に雇用分野のうち、労働時間と報酬のリンクを切り離した新しい労働時間制度では、一定の年収要件を満たし、職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者」を対象に労働時間規制の適用を除外するものとなっている。
労働時間の上限規制を設けることなく、成果で評価する制度が導入されれば、労働者は長時間働くことが余儀なくされ、過労死の増大等を招く懸念が大きい。
毎年100名を超える方が過労死で亡くなっている現実を直視し、健康確保のための厳格な長時間労働防止策、さらには労働基準監督体制の強化など、今政府がなすべきことは“残業代ゼロ”でなく“過労死ゼロ”であるべきでないでしょうか。

労働者代表が参加しない場で雇用・労働にかかる事項を決定していく、政府の進め方も極めて問題である。労働者保護ルールは、働く者が人たるに値する生活を営むための最低限のルールである。
それに「岩盤規制」とレッテルを貼り、経済成長の足かせだと非難することは、国民の雇用不安・将来不安をあおるだけで、経済の好循環を逆行させるものである。
“強い日本をつくる”ために働く者の権利が弱くなることはあってはならない。
また、雇用不安や労働環境の悪化を招くなど、働く者を犠牲にする成長戦略を描くことは許されない。
このような、労働者保護ルールの改悪に断固反対するため、共にがんばろう!




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